
予想と違った、彼の反応
感情をぶつけたあと、
私は少し距離ができる覚悟をしていた。
重いと思われたかもしれない。
面倒だと思われたかもしれない。
でも、彼は違った。
「そんなふうに思わせてたなら、ごめん」
その言葉は、
想像よりもずっと真剣だった。
急に増えた連絡
まるで埋めるように
次の日から、
彼からの連絡が増えた。
「おはよう」
「今なにしてる?」
「声聞きたい」
今までより、明らかに多い。
まるで、
私の不安を埋めるように。
会う回数も、増えた
「今週、時間つくるよ」
「来週もどこか行こうか」
あれほど曖昧だった予定が、
急に具体的になる。
優先されている感覚が戻る。
それが嬉しくて、
私は簡単に安心してしまった。
「手放したくない」と言われた夜
その言葉を、待っていた
「離れるとか、考えてないよな?」
彼は少し不安そうに言った。
「俺は、手放すつもりないから」
その一言で、
胸の奥が一気にほどけた。
欲しかった言葉だった。
選ばれたかった。
失いたくなかった。
私は、その瞬間
完全に彼に戻った。
優しさが、鎖になる
安心したはずなのに
不安は消えたはずなのに、
心の奥がざわついていた。
なぜなら私は、
彼の言葉一つで
こんなにも揺れている。
つまりそれは、
私の幸せが
彼の機嫌次第だということ。
依存という名前の安心
連絡が来ないと落ち着かない。
声を聞かないと不安になる。
前より、もっと。
彼が引き止めてくれたことで、
私は“救われた”のではなく
“深く沈んだ”のかもしれない。
形は戻っても、何かが違う
私は、さらに重くなる
優しくされるほど、
もっと欲しくなる。
もっと確かめたくなる。
もっと近くにいたくなる。
彼は安心させようとしてくれている。
でも私は、それで満足できなくなっている。
この関係は、もう止まらない
壊れかけたはずなのに、
前よりも強く結び直された。
でもそれは、
健全な結び目ではない。
お互いに少しずつ
抜けられなくなる結び方。
甘い地獄は、
いま一番心地いい。
だからこそ、
いちばん危ない。
次回予告(第18話)
安心したはずなのに、
なぜか苦しい。
満たされるほど、
欲が膨らむ。
“愛されている”と確信したはずの関係が、
再び軋み始める。
続きはまた次回。