『この恋は甘い地獄』 第8話 理性と感情が噛み合わない

会わない時間が、気持ちを整理してくれると思っていた

一度距離を置けば、
自然と落ち着くと思っていました。

会わなければ、
気持ちは少しずつ薄れていくはずだと。

でも実際は、
会わない時間のほうが、
彼の存在ははっきりと浮かび上がってきました。


考えるほど、会いたくなる

何をしていても、思考が戻ってしまう

仕事に集中していても、
テレビを見ていても、
ふとした瞬間に思い出してしまう。

「今、何してるんだろう」
「今日は連絡こないのかな」

考えないようにしているのに、
気づけばまた同じところに戻っている自分。

時間が、感情を育ててしまう

考える時間が長くなるほど、
会いたい気持ちも強くなっていきます。

冷静になるための時間のはずなのに、
感情だけが静かに膨らんでいく。

理性と感情が、
少しずつズレ始めているのを感じている。


突然のメッセージが、迷いを壊す

「今から行っていい?」

その日は、
もう今日は何も起きないと思っていました。

家で静かに過ごしていた時、
スマホが震えました。

「今から行っていい?」

短いその一文に、
胸の奥が一気にざわつきました。

もう、家の近くまで来ているという現実

返事を迷っている間に、
続けて届いたメッセージ。

「もう、そっちの近くまで来てる」

考える余裕は、ほとんどありませんでした。
断る理由も、
自分を納得させる言葉も見つからない。


理性より先に、感情が動いてしまう

「少しだけ」という言葉にすがる

少し話すだけ。
顔を見るだけ。

そう言い聞かせながら、
心はもう答えを出していました。

理性はブレーキを踏もうとしているのに、
感情はもうアクセルを踏んでいる。

静かに、後戻りできない場所へ

この時、はっきりとわかっていました。

これは偶然じゃない。
衝動だけでもない。

会わない時間が積み重なって、
どうしようもなくなった結果なんだと。

静かに、
でも確実に、
何かが次の段階へ進み始めていました。


次回予告

次回は、
会ってしまった夜の、その先

抑えていた感情がほどけていく瞬間と、
自分でも予想していなかった心の動きーー

続きはまた次回。

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