
気づかないふりをしていた違和感
何気ない一言が、引っかかる
彼とのやり取りは、表面上は何も変わっていませんでした。
連絡も来るし、言葉も優しい。
それなのに、
以前なら気にならなかった一言が、
胸に引っかかるようになっていました。
返事のトーン。
少し遅れた返信。
短くなった文章。
「考えすぎ」
そう言い聞かせても、
心が納得していません。
不安の正体が、わからないまま
理由がはっきりしていれば、
対処のしようもあります。
でも、この不安には
名前がつけられない。
嫌われたわけでもない。
距離を置かれたわけでもない。
ただ、
前と同じなのに、同じじゃない気がする
その曖昧さが、いちばん厄介でした。
聞けないまま、態度が変わっていく
ほんの少し、探るようになる
「忙しい?」
「疲れてる?」
以前より、
そんな言葉が増えていることに、
自分で気づいていました。
確かめたいわけじゃない。
責めたいわけでもない。
ただ、
安心できる材料が欲しいだけ。
でも、それを重ねるほど、
自分が“重くなっている気”がして、
また黙ってしまうのです。
甘えと遠慮が、同時に存在する
会えば、
笑っていたい。
楽しい時間にしたい。
でも、
本当は聞きたいことがある。
その矛盾が、
表情や言葉の端に、
少しずつ滲み出ていました。
期待してしまう自分が、怖い
「次はいつ会える?」が言えない
予定の話になると、
胸が少し緊張します。
自分から言い出して、
もし曖昧に流されたら。
その想像だけで、
一歩踏み出せなくなってしまう。
期待して、
裏切られるのが怖い。
だから、
聞けないまま、待つことを選んでしまうのです。
待つ時間が、心を消耗させる
待っている間、
何度もスマホを見てしまう。
通知が来れば、
一瞬で気持ちが浮き上がり、
来なければ、
静かに沈んでいく。
この上下の波に、
少しずつ疲れている自分がいました。
不安は、関係を壊す前触れ
何も起きていないのに、苦しい
大きな喧嘩もない。
決定的な出来事もない。
それなのに、
心は確実にすり減っていく。
この関係が、
もう“楽しいだけ”ではなくなっている。
その事実を、
認めたくなくて、
目を逸らしていました。
それでも、手放す選択肢はない
不安は増えているのに、
離れたいとは思えない。
むしろ、
失うことのほうが、
ずっと怖い。
その気持ちが、
また次の不安を生み出していく。
私は、
そんな循環の中に
静かに入り込んでいました。
次回予告
次回は、
「気持ちの重さが、少しずつズレていく瞬間」
同じ関係にいるはずなのに、
見ている景色が違い始める。
追う側と、
追われる側。
その差に気づいてしまった時、
この関係は、さらに苦しくなっていきます。
地獄は、
音を立てずに深くなっていきます。
続きはまた次回。