
「家庭は壊さない」という言葉に、しがみつく
彼には、奥さんがいる
その事実は、最初から変わっていません。
わかっていて、始めた関係です。
だから、
「家庭を壊すつもりはない」
その言葉を、何度も心の中で繰り返していました。
それは理性というより、
自分を保つための言い訳だったのかもしれません。
奥さんは「女性」じゃないと思いたい
彼が話す奥さんの存在を、
いつの間にか、
**「妻」ではなく「家族」**として受け取るようになっていました。
もう恋愛感情はない。
女としては見ていない。
一緒に暮らしているだけ。
そう思えたほうが、
自分の立場が、少しだけ安全になるからです。
「愛されているのは私」だと思いたくなる
彼の優しさが、判断を鈍らせる
彼の言葉も、触れ方も、目線も、優しい。
その一つ一つが、
「選ばれているのは私だ」
そう思わせるには、十分すぎました。
比べるつもりなんてなかったのに、
いつの間にか、
自分のほうが“女性として愛されている”
そう信じたくなっていました。
奥さんとは、体では繋がっていないと信じたい
会えない夜、
ふと浮かぶ想像を、必死に打ち消します。
奥さんと、どんな距離なのか。
同じベッドで眠っているのか。
触れているのか。
考えたくない。
だから、
「もう、そういう関係じゃないはず」
と、自分に言い聞かせる。
真実かどうかより、
そうであってほしいという願いでした。
バレたら困る。でも、やめられない
現実的な恐怖は、ちゃんとある
軽率なことはできない。
痕跡は残さない。
誰にも気づかれないように。
その意識は、ちゃんとあります。
失うものがあることも、
壊してはいけないものがあることも、
理解しているつもりでした。
それでも、欲望は理性をすり抜ける
でも、
彼からの連絡を待つ時間。
会えない日の長さ。
その一つ一つが、
理性を少しずつ削っていきました。
「ダメだ」と思うほど、
「会いたい」が強くなる。
欲望は、
叫ばない。
暴れない。
ただ静かに、
確実に、
判断力を壊していくのです。
ハマっていると、わかってしまった瞬間
自分でも、止められないと気づく
これは恋なのか、
依存なのか、
それとも、ただの逃げ場なのか。
もう、はっきりとはわかりません。
ただ一つ、
確かなことがあります。
私はもう、
この関係に
深く、ハマってしまっている。
地獄だとわかっていて、抜けられない
家庭は壊さない。
バレたら困る。
正しくない。
すべて、わかっています。
それでも、
彼に愛されていると思いたい自分を、
止めることができない。
ここが地獄の入り口だと、
はっきりわかっているのに。
もう、
戻れない場所に立っていました。
次回予告
次回は、
**「幸せが深くなるほど、不安も育っていく」**
一緒に過ごした時間が増えたことで、
見ないふりをしていた現実が、
少しずつ輪郭を持ちはじめます。
満たされているはずなのに、
なぜか安心できない。
この幸福が、
いつまで続くのかを考えてしまうーー
続きはまた次回。