
朝の待ち合わせ
朝、子供たちを送り出したあと。
いつも通りに家のことを済ませて、
何も変わらない顔で外に出る。
数駅離れた場所。
誰にも会わないように選んだ駅で、
彼の車を待つ。
少しして、見慣れた車が止まる。
何も言わずにドアを開けて、
当たり前のように助手席に乗り込む。
「おはよう」
その一言で、もう空気が変わる。
いつもの流れ
途中のコンビニに寄るのも、
いつの間にか決まった流れになっていた。
コーヒーと、軽く何かを買って。
どっちが払うかも、なんとなくで決まる。
特別なことは何もない。
ただ、自然に隣にいる。
それだけで、満たされている。
迷いのない足取り
車が止まる場所も、もう迷わない。
初めてのときにあった戸惑いは、
どこにも残っていなかった。
当たり前のように降りて、
当たり前のように中へ入る。
隣に彼がいる。
それだけで、何も考えなくていい。
変わってしまった感覚
最初は、少しだけ特別な場所だったはずなのに。
今はもう、違う。
ここに来ると落ち着く。
ここに来ると、戻れる。
そんな感覚に変わっていた。
ふたりでいる時間
部屋に入ると、空気が緩む。
外ではできない距離で、
何も気にせず隣にいられる。
言葉は多くなくてもいい。
視線と、空気と、距離で分かる。
ここにいる時間だけが、
ちゃんと繋がっている気がした。
合いすぎている
不思議なくらい、合っていると思った。
無理をしていないのに、心地いい。
沈黙も自然で、
どこにも違和感がない。
こんな関係、知らなかった。
日常になっていく
週に何度も繰り返すうちに、
この時間が“特別”じゃなくなっていく。
むしろ、ここに来ない日の方が落ち着かない。
会うことが前提の生活。
そんなふうに変わっていった。
境界が曖昧になる
家にいる時間と、
彼といる時間。
どちらも同じ一日なのに、
重さが違う。
どっちが現実なのか、
分からなくなる瞬間があった。
ふたりの居場所
ここでは、何も背負わなくていい。
母でもなく、妻でもない。
ただ、自分でいられる。
ただ、彼といられる。
気付けば——
この場所が、
一番落ち着く場所になっていた
続きはまた次回。