2026年 8月 の投稿一覧

『婚外恋愛』第17話 ずっと続くと思っていた

当たり前になりすぎていた

いつからだろう。

この関係が終わるかもしれない、なんて。

考えなくなっていた。


次がある前提

「また来週ね」

その言葉を、疑ったことがない。

会える日を決めて、
いつもの駅で待ち合わせて、
いつものように彼の車に乗る。

その流れが、ずっと続く気がしていた。


少しの変化

でも最近、少しだけ違う。

連絡が遅い日がある。

仕事が忙しいと言われる回数が増えた。

会えている。
ちゃんと会えている。

それなのに——

前みたいに安心できない。


考えたくないのに

「もし終わったら」

ふと、その考えが浮かぶ。

すぐに打ち消す。

考えても意味がない。

でも、一度浮かんだ不安は、簡単には消えない。


依存

前は、自分の生活がちゃんとあった。

子供のことをして、
家のことをして、
その中に彼がいた。

でも今は違う。

彼との時間を中心に、
全部が回っている。


なくなった時

もし、この関係がなくなったら。

そう考えた瞬間、
胸の奥がざわつく。

空っぽになる感覚が、想像できてしまう。


怖いのは終わりじゃない

終わることより怖いのは。

終わったあと、
元の自分に戻れる気がしないことだった。


気付いてしまった

私はもう、“刺激”を求めているんじゃない。

彼自身を求めている。


失いたくない

だから、怖い。

少しの違和感だけで、不安になる。

返信ひとつで気持ちが揺れる。

そんな自分になってしまった。


ずっとなんてない

本当は分かっている。

“ずっと”なんて、ないこと。

家庭があって、
現実があって。

この関係が永遠じゃないことくらい、
最初から知っていたはずなのに。


それでも私は、どこかで信じていた。

この時間だけは、
ずっと続くんじゃないかって。

続きはまた次回。

『婚外恋愛』第16話 ふと感じた違和感

小さなズレ

最初は、本当に小さなことだった。

「ごめん、今日は少し遅れる」

ただ、それだけ。

仕事をしていれば普通にあること。
今までだって、何度もあった。

なのに——

なぜか少しだけ、引っかかった。


待つ時間

待ち合わせの駅で、スマホを見る。

まだ既読にならない。

ほんの数分。

それだけなのに、
落ち着かない。


考えなくていいこと

仕事かもしれない。
電話中かもしれない。

頭では分かっている。

でも、考え始めると止まらない。


違和感の正体

前なら、こんなことで揺れなかった。

会えれば、それでよかった。

彼がそこにいてくれれば、
それだけで満たされていた。


欲張りになった

いつからだろう。

“会えるだけでいい”じゃなくなったのは。

返信の速さ。
声のトーン。
ちょっとした空気。

そんな細かいことばかり、気になるようになっている。


会えたのに

その日も、ちゃんと会えた。

いつも通り車に乗って、
いつも通り隣にいる。

触れられると安心する。

でも——

どこか少しだけ、違う。


気のせい

たぶん、気のせい。

疲れているだけかもしれない。

考えすぎだって、自分に言い聞かせる。


笑っているのに

彼はいつも通り笑っている。

会話も普通。
態度も変わらない。

なのに、自分だけが勝手に不安になっている気がした。


言えない

「なんか今日、少し違う?」

そんなこと、聞けるはずがない。

重いと思われたくない。

面倒な関係には、なりたくない。


崩れ始める時

幸せな時間の中に、
ほんの少しだけ混ざった違和感。

それは小さいのに、妙に残る。


気付かないふりをしているけど。

本当はもう、分かっている。


好きになればなるほど。

失うことが、怖くなっていく。

続きはまた次回。

『婚外恋愛』第15話 このままでいい

未来なんて考えていなかった

最初は、本当に軽い気持ちだった。

少し刺激がほしかっただけ。
日常から逃げたかっただけ。

こんなふうになるなんて、思っていなかった。


気付けば

気付けば、生活の中に彼がいる。

週に一度か二度、会う時間。

その予定があるだけで、
一週間の感じ方が変わる。

会える週は、少し頑張れる。

会えない週は、どこか物足りない。


先のことは分からない

この関係に未来があるのかなんて、分からない。

たぶん、普通に考えたらない。

お互い家庭があって、
子供もいる。

現実的じゃないことくらい、ちゃんと分かっている。


それでも

それでも——

今、失いたくないと思う。

終わることを想像した瞬間、
胸の奥が少し苦しくなる。


欲しくなっていく

最初は、“会えればいい”だけだった。

でも今は違う。

もう少し一緒にいたい。
もう少し知りたい。

少しずつ、欲張りになっていく。


当たり前の存在

彼から連絡が来る。

それだけで安心する。

「おはよう」
「今向かってる」

そんな何気ない言葉が、
いつの間にか日常に入り込んでいる。


壊したくない

重くなりたくない。

面倒な女にもなりたくない。

だから、未来の話はしない。

でも本当は、少しだけ聞いてみたくなる。

この先も、ちゃんと会えるのか。

私たちは、どうなるのか。


口にしないまま

聞かない。
確かめない。

その方が、この関係は続く気がしているから。


今だけでいいはずなのに

“今だけ”で始まったはずだった。

なのに——

気付けば、“このまま”を望んでいる。


終わりが来ることを、考えたくない。

考えた瞬間、
全部が壊れてしまいそうで。


だから今日も、何も聞かない。

ただ彼の隣で、
この時間が続くことだけを願っている。

続きはまた次回。

『婚外恋愛』第14話 家にいるのに、帰りたい

いつもの夜

「ただいま」

そう言って家に入る。

子供たちの声がして、
夕飯の準備をして、
いつもの夜が始まる。

何も変わらない。

変わっていないはずなのに——

どこか、遠い。


隣にいる人

夫はいつも通りだった。

今日あったことを話して、
テレビを見て、
当たり前みたいに同じ空間にいる。

前は、それが普通だった。


比べたくないのに

比べたくない。

そんなこと、してはいけないと思う。

でも、気付けば比べている。

空気。
会話。
沈黙。

全部。


軽くなってしまったもの

前は、ちゃんとここにいたはずなのに。

家族の時間を大切にして、
妻として過ごしていたはずなのに。

今はどこか、感覚が薄い。

ちゃんと笑っている。
ちゃんと返事もしている。

でも、心だけが少し離れている。


思い出してしまう

彼といる時間を思い出す。

車の中の空気。
何気ない会話。
隣にいる時の安心感。

思い出した瞬間、
今ここにいる自分との温度差に気付いてしまう。


触れられたくない

夫に悪気はない。

それは分かっている。

でも、近付かれると少しだけ身構える。

触れられそうになると、
反射的に距離を取ってしまう自分がいた。


帰る場所

ここが、帰る場所のはずなのに。

ちゃんと守ってきた場所のはずなのに。

なのに——

最近、落ち着く場所を思い浮かべると、
最初に浮かぶのは彼の隣だった。


気付いてはいけないこと

気付いたら終わる気がして、
ずっと考えないようにしていた。

でも、もう誤魔化せない。


変わってしまった

私はたぶん、もう戻れない。

ただ刺激に溺れているだけだと思っていた。

でも違った。


彼といる時間が、特別なんじゃない。

今の私にとって——

あっちの方が、“自然”になってしまった。

続きはまた次回。

『婚外恋愛』第13話 言葉にしない約束

「好き」を言わない理由

不思議なくらい、ちゃんと伝わっていた。

わざわざ確認しなくても。
言葉にしなくても。

彼が会いたがっていることも、
私を求めていることも。

全部、分かってしまう。


軽くしたくなかった

「好き」

その言葉を使ってしまうと、
急に安っぽくなる気がしていた。

簡単に口にした瞬間、
この関係の温度が変わってしまいそうで。

だから、お互い言わなかった。


でも、伝わる

会えば分かる。

視線の向け方。
触れるタイミング。
離れる時の空気。

言葉なんかなくても、
十分すぎるくらい伝わっている。


優先してしまう

「今週、どこかで会える?」

その一言で、予定を調整する。

子供の予定。
家のこと。
夫の帰宅時間。

全部を見ながら、
彼との時間を先に確保している自分がいる。


彼も同じ

彼も、仕事の予定を動かしていた。

「午後なら空けられる」

「その日は時間作れる」

そんなふうに、自然に合わせてくる。

無理している感じがないのが、余計に怖い。


言葉より確かなもの

“会う”という行動そのものが、答えになっていた。

忙しい中で時間を作ること。

会えない週があるだけで寂しくなること。

また会った瞬間、安心すること。

それ全部が、
もう十分すぎるほど気持ちを表している。


未来の話はしない

お互い、未来の話はしなかった。

離婚するとか。
一緒になるとか。

そういう現実的な話は、一度も出ていない。


それでも

不安がないわけじゃない。

でも、今のこの関係を壊したくなかった。

変に名前をつけて、
重くしたくなかった。


暗黙のルール

深く聞きすぎない。
無理に確かめない。

でも、ちゃんと会う。

そのバランスが、
不思議なくらい心地よかった。


約束なんてないのに

「ずっと一緒にいよう」

そんな約束はしていない。

好きとも言っていない。

なのに——

次も会うことを、疑っていない。


言葉にしていないだけで。

私たちはもう、
十分すぎるほど繋がっていた。

続きはまた次回。