『婚外恋愛』第13話 言葉にしない約束

「好き」を言わない理由

不思議なくらい、ちゃんと伝わっていた。

わざわざ確認しなくても。
言葉にしなくても。

彼が会いたがっていることも、
私を求めていることも。

全部、分かってしまう。


軽くしたくなかった

「好き」

その言葉を使ってしまうと、
急に安っぽくなる気がしていた。

簡単に口にした瞬間、
この関係の温度が変わってしまいそうで。

だから、お互い言わなかった。


でも、伝わる

会えば分かる。

視線の向け方。
触れるタイミング。
離れる時の空気。

言葉なんかなくても、
十分すぎるくらい伝わっている。


優先してしまう

「今週、どこかで会える?」

その一言で、予定を調整する。

子供の予定。
家のこと。
夫の帰宅時間。

全部を見ながら、
彼との時間を先に確保している自分がいる。


彼も同じ

彼も、仕事の予定を動かしていた。

「午後なら空けられる」

「その日は時間作れる」

そんなふうに、自然に合わせてくる。

無理している感じがないのが、余計に怖い。


言葉より確かなもの

“会う”という行動そのものが、答えになっていた。

忙しい中で時間を作ること。

会えない週があるだけで寂しくなること。

また会った瞬間、安心すること。

それ全部が、
もう十分すぎるほど気持ちを表している。


未来の話はしない

お互い、未来の話はしなかった。

離婚するとか。
一緒になるとか。

そういう現実的な話は、一度も出ていない。


それでも

不安がないわけじゃない。

でも、今のこの関係を壊したくなかった。

変に名前をつけて、
重くしたくなかった。


暗黙のルール

深く聞きすぎない。
無理に確かめない。

でも、ちゃんと会う。

そのバランスが、
不思議なくらい心地よかった。


約束なんてないのに

「ずっと一緒にいよう」

そんな約束はしていない。

好きとも言っていない。

なのに——

次も会うことを、疑っていない。


言葉にしていないだけで。

私たちはもう、
十分すぎるほど繋がっていた。

続きはまた次回。

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