2026年 5月 の投稿一覧

『婚外恋愛』第5話 会いたくて、仕方がない


抑えられない

気付けば、一日の始まりに彼がいる。

「おはよう」

その一言を待っている自分がいる。

来ると安心して、
来ないと落ち着かない。

たったそれだけで、
一日の気分が決まるようになっていた。


生活の中心

スマホが手放せない。

料理をしていても、
洗濯をしていても、
子供と話していても。

どこかでずっと、彼を待っている。

通知が鳴るたび、反応してしまう。

それが当たり前になっていた。


会えない時間

会えない時間が、苦しい。

前は平気だったはずの数日が、
今は長く感じる。

「会いたい」

その言葉を、何度も飲み込む。

重いと思われたくない。
でも、伝えたい。

その間で、揺れる。


口にしてしまった言葉

「会いたい」

結局、送ってしまった。

少しだけ間があって、返ってきた返事。

「俺も会いたい」

その一言で、全部が報われた気がした。


触れたい理由

ただ会うだけじゃ、足りない。

声を聞くだけでも、足りない。

触れたい。

温度を感じたい。

近くにいたい。

理由なんて、もういらなかった。


優先順位

予定を調整する。

子供のこと。
家のこと。
夫のこと。

全部をうまく回しながら、
その隙間に彼を入れる。

でも本当は、逆だった。

彼のために、すべてを調整している。


会えた瞬間

会えた瞬間、すべてが軽くなる。

さっきまでの不安も、
待っていた時間も、全部どうでもよくなる。

目の前にいる、それだけでいい。

触れた瞬間、安心する。

「ああ、ここだ」と思う。


満たされるほど

一緒にいる時間は、あっという間に過ぎる。

帰る時間が近づくと、少しだけ黙る。

言葉にすると、終わってしまいそうで。

離れたくない、と思う。


足りない

満たされているはずなのに、足りない。

またすぐに会いたくなる。

さっきまで一緒にいたのに、
もう次を考えている。


これが、普通じゃないことくらい分かっている。

でも。

こんなふうに誰かを求めたのは、いつぶりだろう。

こんなふうに、誰かに求められたのは。


会いたくて、仕方がない。

ただそれだけの感情に、
ここまで動かされるなんて思っていなかった。


これは、愛ですか。

それとも——
ただの欲望ですか。

続きはまた次回。

『婚外恋愛』第4話 触れたら、もう戻れなかった

もう一度、のはずが

「次、いつ会える?」

あの日から、やり取りは途切れなかった。

朝も、昼も、夜も。
気付けば、彼との会話が一日の中心になっていた。

少し空くだけで、不安になる。

それを埋めるように、またメッセージを送る。


会いたいが止まらない

一度触れてしまったら、戻れなかった。

声を聞くだけじゃ足りない。
画面越しじゃ足りない。

会いたい。

触れたい。

その気持ちが、前よりずっと強くなっている。


日常が色を失う

家にいる時間が、長く感じる。

夫の声が遠い。
子供たちの会話にも、うまく入れない。

ちゃんと返事はしている。
ちゃんと笑っている。

でも、どこか上の空。

頭の中は、彼のことでいっぱいだった。


すぐに会う約束

「少しだけでも会えない?」

その言葉に、迷いはなかった。

理由なんて、後からいくらでも作れる。

用事。
買い物。
ちょっとした外出。

自分でも驚くくらい、自然に嘘をついていた。


短い時間でもいい

ほんの少しの時間でもいい。

顔を見るだけでいい。

そう思って会いに行くのに——

会えば、足りなくなる。

もっと一緒にいたい。
もっと触れていたい。

終わりの時間が、早すぎる。


繰り返す

また会う。

そして、また同じことを思う。

「次は、もっと長く」

その繰り返し。

満たされているはずなのに、
なぜか足りない。


深くなっていく

会うたびに、距離が近くなる。

言葉も、感情も、触れ方も。

最初の頃の遠慮が、少しずつ消えていく。

気を遣わなくていい。
隠さなくていい。

そんな安心感が、心地よかった。


止める理由がない

いけないことだと、分かっている。

でも、やめる理由が見つからない。

誰かを傷つけている実感も、まだない。

ただ、自分が満たされているだけ。

それだけで、十分だった。


境界線が消える

最初はあったはずの線が、もう見えない。

どこまでが大丈夫で、
どこからがダメなのか。

考えなくなっていた。


会えない時間が、長く感じる。

会っている時間が、短く感じる。

その繰り返しの中で——

私はどんどん、彼のほうへ傾いていく。


これが、ただの遊びのはずがない。

でも——
本気だと言い切るのも、少し怖い。

それでも私は、
また会いたいと思っている。

続きはまた次回。

『婚外恋愛』第3話 一線を超えた夜

約束してしまった日

「今度、夜に会える?」

彼からのその一言に、少しだけ間が空いた。

昼間なら、言い訳ができる。
ただの食事、ただの会話。

でも、夜は違う。

意味を持ってしまう時間。

それでも——

「うん、大丈夫」

そう返していた。


分かっていたはずなのに

約束したあと、少しだけ考えた。

これは、よくないこと。
ちゃんと分かっている。

私は結婚していて、子供もいる。
彼も同じ。

壊してはいけないものが、
お互いにある。

それでも。

やめようとは思わなかった。


夜という時間

待ち合わせの場所に向かう足が、少し速くなる。

緊張しているはずなのに、
どこか楽しみにしている自分がいる。

彼の顔を見た瞬間、
その感情ははっきりした。

嬉しい。

ただ、それだけだった。


近づく距離

食事をして、少しお酒を飲んで。

会話は、昼間と変わらないのに、
空気だけが違う。

視線が合う時間が、少し長い。
沈黙が、嫌じゃない。

ふとした瞬間、距離が近い。

触れそうで、触れない。


触れた瞬間

帰ろうとしたとき、
彼に呼び止められた。

その一歩が、近い。

手が触れる。

たったそれだけで、
思考が止まる。

あたたかい、と思った。


理性が追いつかない

ダメだと、頭では分かっている。

でも、体は動かなかった。

離れなきゃいけないのに、
離れたくなかった。

彼の手を、振りほどけなかった。


越えてしまった境界線

気付いたときには、もう遅かった。

戻れない場所にいると、
ちゃんと分かっていた。

それでも——

嫌じゃなかった。

むしろ、安心していた。

やっと触れられた、と思った。


幸せだった

こんなに満たされること、
まだ自分に残っていたんだと思った。

誰かに必要とされる感覚。

求められること。
求めること。

忘れていたものが、
一気に戻ってきた。


罪悪感の前に

帰り道、ひとりになっても、
不思議と後悔はなかった。

いけないことをしたはずなのに。

それよりも先に残っていたのは、
さっきまでの温度だった。


もう戻れない

スマホを見ると、彼からのメッセージ。

「今日はありがとう」

また、その一言。

でも、さっきまでとは意味が違う。

私は少しだけ考えて、
こう返した。

「また会いたい」


一度越えてしまったら、
もう戻れないことくらい分かっている。

それでも。

次を求めている自分がいる。


これは、間違いですか。

それとも——
やっと手に入れたものですか。

続きはまた次回。

『婚外恋愛』第2話 帰ってきたのに、また会いたい

ただのカフェのはずだった

昼間の、ありふれた時間。
コーヒーを飲んで、少し話して、
それで終わるはずだった。

なのに——

帰り道、ずっと彼のことを考えていた。


残る余韻

楽しかった。

それだけのはずなのに、
胸の奥に、妙な余韻が残っている。

特別なことは何もしていない。
触れてもいない。
ただ話しただけ。

それなのに。

「また会いたい」

その言葉が、頭から離れない。


日常とのズレ

家に帰ると、いつもの日常があった。

「おかえり」もなく、
夫はテレビを見ている。

子供たちは、それぞれの時間。

私はキッチンに立って、
夕飯の準備をする。

包丁の音。
換気扇の音。
いつもの生活音。

なのに、どこか遠く感じる。


スマホを待つ自分

スマホが気になる。

まだ何も来ていないのに、
何度も画面を開いてしまう。

こんなこと、今までなかった。

夫からの連絡は、気付かなくても平気なのに。

たった一度会っただけの人からの通知を、
こんなにも待っている。


たった一言

「今日はありがとう」

やっと届いた一言。

それだけなのに、
心臓が少し跳ねた。

「こちらこそ、楽しかったです」

そう返しながら、少しだけ迷う。

“楽しかった”なんて、軽い言葉でいいのか。


終わらない会話

やり取りは、すぐ終わると思っていた。

でも終わらなかった。

他愛のない会話が続く。

今日の話。
仕事のこと。
どうでもいい冗談。

気付けば、笑っていた。

スマホを見ながら、ひとりで。


久しぶりの感覚

こんな時間、いつぶりだろう。

誰かとの会話が、
こんなにも楽しいなんて。

誰かに「わかる」と言われることが、
こんなにも安心するなんて。


思考の変化

ふと、思う。

次は、いつ会えるんだろう。


止まらない

寝る前、スマホを置けなかった。

やり取りはもう終わっているのに、
また開いてしまう。

最後のメッセージを、何度も見返す。

「また会えたら嬉しいです」

その一文が、やけに残る。


もう始まっている

ただの一言なのに。
ただの社交辞令かもしれないのに。

それでも。

「私も会いたい」

そう思ってしまった。


小さな崩れ

これは、まだ恋じゃない。

ただ、少し楽しかっただけ。
少し、満たされただけ。

そう言い聞かせながら——

私はもう、次に会うことを考えている。


帰ってきたはずなのに。

ちゃんと日常に戻ったはずなのに。

どうして私は、
あの時間に戻りたいと思っているんだろう。


これは、ただの気の迷いですか。

それとも——
もう、始まってしまっているんですか。

続きはまた次回。