『この恋は甘い地獄』第14話 気持ちの重さが決定的にズレた日

彼の予定が、最優先になっていく

前は、会う約束をするとき
彼は「空けておくよ」と言ってくれていた。

最近は違う。
「その週はちょっと分からない」
「前日にならないと動けなくて」

それでも私は
「忙しいよね」と笑った。
理解ある女でいようとした。

私は、彼の“隙間”に収まる存在になる

彼の仕事
彼の家庭
彼の都合

すべてが先にあって、
その余白に、私との時間が入る。

それに気づいても
不満を言う資格がないことは分かっている。

選ばれないと知りながら
選ばれたい気持ちだけが、重く残る。

彼は変わっていない、と信じたかった

連絡はくる。
会えば優しい。
抱きしめ方も変わらない。

だから私は
「何も変わっていない」と
自分に言い聞かせる。

でも本当は
変わっていないのは彼で、
変わってしまったのは私だった。

私だけが、深い場所に沈んでいる

会えない時間
私はずっと彼のことを考えている。

彼はきっと
普通の日常を生きている。

同じ関係にいるはずなのに
立っている場所が、もう違う。

「好き」の量は、測れないはずなのに

どちらが好きかなんて
比べるものじゃない。

そう思っていたのに
気づけば私は
彼の言葉や態度で
愛の量を測ろうとしている。

それが、いちばん苦しい。

気持ちの重さが、静かにズレきる

私は
彼の一言で一日が揺れる。

彼は
私がいなくても一日が終わる。

その差に気づいた瞬間
胸の奥が、ひやりと冷えた。

それでも、手放せない

ズレていると分かっている。
このままでは壊れるとも分かっている。

それでも
まだ終わりにできない。

だって
この恋を失ったら
私は何を支えに生きればいいのか
分からなかったから。


次回予告(第15話)

会いたい気持ちを抑えるほど
心は、彼に縛られていく。
「大丈夫なふり」が限界を迎えるとき、
彼の優しさは、残酷になる。

続きはまた次回。

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