
不倫という言葉を聞くとよみがえる一文
私は「不倫」という言葉を聞くと、いつも東野圭吾さんの『夜明けの街で』の一文を思い出します。
「この恋は甘い地獄。彼女が天使とは限らない。
不倫する奴なんてバカだと思っていた。
でもどうしようもない時もあるーー。」
この“どうしようもない”という感覚は、不倫心理そのもののように胸に残ります。
なぜ人は不倫してしまうのか——その静かな始まり
不倫は衝動ではなく、ゆっくり始まる
多くの人は「不倫は衝動で起こる」と思っていますが、実際の不倫のきっかけはもっと静かで曖昧です。
ドラマのように劇的ではなく、気づいたときには心が溺れている──それが現実です。
甘いもののように抗えない魅力
夜中にどうしても食べたくなる甘いもののように、
「やめておこう」と思いながらも、ひと口食べると、もう後戻りはできません。
それと同じように、不倫にも“抗えない甘さ”があります。
禁じられている恋ほど心を奪い、リスクがあるほど鼓動が早くなるのです。
不倫が始まる瞬間は劇的ではない
きっかけはほんの些細な会話
一線を越える瞬間は、特別な出来事ではありません。
大抵は、何気ない会話から始まります。
- 特別な視線ではない
- 意味深な仕草でもない
- 日常の延長にあるようなやり取り
しかし、その些細なやり取りが積み重なることで、
ある瞬間に“理性の薄い膜”が破れてしまうのです。
人が不倫に惹かれてしまう心理
「自分を見てほしい」という静かな欲求
人は心のどこかで、誰しも
「自分をちゃんと見てほしい」
と願っています。
家庭では役割をこなし、
職場では責任を背負い、
誰かのために動き続けていると、
「自分が透明になってしまったように感じる瞬間」が訪れます。
その透明感を溶かしてくれるのが、
ときに“してはいけない相手”なのです。
心理学で見る“不倫に惹かれる理由”
ここで心理学的な視点を一つだけ挙げるなら、
寂しさが限界に達したとき、人は「自分を救ってくれそうな相手」に強く惹かれる と言われています。
恋かどうか曖昧なまま、
ただその相手に寄りかかりたくなる。
その寄りかかりは、想像以上に甘く、危険で、心地よいのです。
「このくらいなら…」が積み重なる危険性
小さな言い訳は、最初はただの気休めです。
- 「このくらいなら大丈夫」
- 「一瞬だけなら」
その積み重ねが、気づかぬうちに“戻れない関係”をつくりあげていきます。
不倫とは決して単純な背徳ではなく、
人間の弱さと温度が混じった複雑な感情だと思っています。
次回予告:不倫が始まる“あの瞬間”について
次回は、
不倫が始まってしまうときの“瞬間”
について書こうと思います。
甘さと危うさが入り混じり、
少しずつ現実が歪んでいくあの感覚。
地獄なのに、なぜか温かい——
続きはまた次回。