『この恋は甘い地獄』第1話 人はなぜ不倫をしてしまうのか


不倫という言葉を聞くとよみがえる一文

私は「不倫」という言葉を聞くと、いつも東野圭吾さんの『夜明けの街で』の一文を思い出します。

「この恋は甘い地獄。彼女が天使とは限らない。
不倫する奴なんてバカだと思っていた。
でもどうしようもない時もあるーー。」

この“どうしようもない”という感覚は、不倫心理そのもののように胸に残ります。


なぜ人は不倫してしまうのか——その静かな始まり

不倫は衝動ではなく、ゆっくり始まる

多くの人は「不倫は衝動で起こる」と思っていますが、実際の不倫のきっかけはもっと静かで曖昧です。
ドラマのように劇的ではなく、気づいたときには心が溺れている──それが現実です。

甘いもののように抗えない魅力

夜中にどうしても食べたくなる甘いもののように、
「やめておこう」と思いながらも、ひと口食べると、もう後戻りはできません。

それと同じように、不倫にも“抗えない甘さ”があります。
禁じられている恋ほど心を奪い、リスクがあるほど鼓動が早くなるのです。


不倫が始まる瞬間は劇的ではない

きっかけはほんの些細な会話

一線を越える瞬間は、特別な出来事ではありません。
大抵は、何気ない会話から始まります。

  • 特別な視線ではない
  • 意味深な仕草でもない
  • 日常の延長にあるようなやり取り

しかし、その些細なやり取りが積み重なることで、
ある瞬間に“理性の薄い膜”が破れてしまうのです。


人が不倫に惹かれてしまう心理

「自分を見てほしい」という静かな欲求

人は心のどこかで、誰しも
「自分をちゃんと見てほしい」
と願っています。

家庭では役割をこなし、
職場では責任を背負い、
誰かのために動き続けていると、

「自分が透明になってしまったように感じる瞬間」が訪れます。

その透明感を溶かしてくれるのが、
ときに“してはいけない相手”なのです。


心理学で見る“不倫に惹かれる理由”

ここで心理学的な視点を一つだけ挙げるなら、
寂しさが限界に達したとき、人は「自分を救ってくれそうな相手」に強く惹かれる と言われています。

恋かどうか曖昧なまま、
ただその相手に寄りかかりたくなる。

その寄りかかりは、想像以上に甘く、危険で、心地よいのです。


「このくらいなら…」が積み重なる危険性

小さな言い訳は、最初はただの気休めです。

  • 「このくらいなら大丈夫」
  • 「一瞬だけなら」

その積み重ねが、気づかぬうちに“戻れない関係”をつくりあげていきます。

不倫とは決して単純な背徳ではなく、
人間の弱さと温度が混じった複雑な感情だと思っています。


次回予告:不倫が始まる“あの瞬間”について

次回は、
不倫が始まってしまうときの“瞬間”
について書こうと思います。

甘さと危うさが入り混じり、
少しずつ現実が歪んでいくあの感覚。

地獄なのに、なぜか温かい——

続きはまた次回。

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