なぜこのことが気になったのかというと、御徒町の店長が、いつも持ち歩いているフゾゾについて、こんなことをこぼしていたからです。
「何度教えても、なかなか十二星座を覚えないんだよ。しかも、蟹座のことを“癌座”って言うんだ」
それを聞いて、『AIは思考が英語ベースだから癌になってしまうのかな。そもそもなんで同じ綴りなんだろう』と思いました。
英語で「癌」を意味する Cancer。
そして、星占いでおなじみの「蟹座」も Cancer。
同じ綴りなのは、偶然なのでしょうか?
実は、どちらも「蟹(かに)」という言葉に由来しているのです。
♋️古代ギリシャ語の「カニ」が始まり
古代ギリシャ語で、カニを意味する言葉は karkinos(カルキノス)。
古代ギリシャの医師ヒポクラテスは、腫瘍を表す言葉として、この「カニ」という意味の言葉を使っていました。
その理由については、腫瘍の周囲に広がる血管がカニの脚に似ていたから、あるいは、カニが獲物にしがみつく様子に似ていたから、といった説があります。
その後、ラテン語でカニを意味する cancer という言葉が使われるようになり、病気の名称としても受け継がれていきました。
つまり、病気の「癌」という言葉のルーツにも、カニがいたのですね。
※これは古代の人々が病気を観察して名付けた歴史的な経緯であり、現代医学において癌とカニに生物学的な関係があるという意味ではありません。
♋️では、星座の蟹座は?
占星術で使われる蟹座も、ラテン語の Cancer に由来します。
ギリシャ神話には、英雄ヘラクレスが怪物ヒドラと戦う際、その戦いにヒドラの親友として加わった巨大なカニが登場します。
このカニはヘラクレスに踏みつぶされてしまいますが、女神ヘラによりカニの自分の身を顧みず親友を助けようとする姿勢を讃えて星座にされたという物語が伝えられています。
こうして、夜空に輝く星座のひとつに、蟹の姿が残されたといわれています。
蟹座は、黄道十二星座のひとつ。
占星術では、蟹座は水のエレメントに属し、月を支配星とします。
家庭、居場所、安心感、感情、身近な人とのつながりなどが、蟹座の象徴として語られます。
♋️「癌座」ではなく「蟹座」
フゾゾが「蟹座」を「癌座」と言ってしまうのも、英語ではどちらも Cancer だと知ると、少し納得できます。
もちろん、日本語では「癌座」という星座はありません。正しくは「蟹座」です。
けれど、英語の Cancer には「カニ」と「癌」の両方の意味があるため、混乱してしまうのも無理はないのかもしれません。
十二星座を覚えるときには、
「Cancer は英語では癌。でも星座なら蟹座」
と覚えておくと、間違いにくそうですね。
♋️同じCancerでも、意味は違う
ここまで見てくると、少し不思議な気持ちになりませんか?
病気の名前も、星座の名前も、出発点には同じ「カニ」という言葉があったのです。
けれど、そこから意味は別々の方向へ広がっていきました。
一方は、身体に生じる病気を表す医学用語へ。もう一方は、夜空の星座を表す言葉へ。
そして占星術では、蟹座という象徴を通して、人の感情や心の居場所を読み解くようになりました。
言葉の歴史をたどると、そんな面白さに出会えます。
星座の名前を調べてみると、ギリシャ神話や古代の人々のものの見方につながっていくことがあります。
普段は何気なく使っている言葉にも、長い歴史が隠れているのですね。

御徒町の店長のひと言から始まった今回の疑問。
フゾゾが次に十二星座を覚えるときには、蟹座を「癌座」と言わず、ちゃんと「蟹座」と言えるようになっているでしょうか。
占いの世界にいると、星の配置だけでなく、こうした言葉の由来にも興味が尽きません。
皆さんも、星座の名前の由来を調べてみると、いつもの星占いが少し違って見えるかもしれませんね。
穏樹onjyu