
冷めた関係
夫とは、もう長い。
喧嘩もしない。
仲が悪いわけでもない。
でも、触れ合いは何年もない。
食卓には子供たちの好きなおかず。
小学生の娘は今日の出来事を話し、
中学生の息子はスマホをいじりながら相槌を打つ。
私は母として、ちゃんと笑っている。
ちゃんとやっている。
ちゃんと、妻もやっている。
ただ——
女では、もうない。
何も起きない日常
夫と目が合っても、何も動かない。
求められない。
求めもしない。
「こんなものよね」
そう言い聞かせて、何年も経った。
きっかけは、ほんの些細なこと
ある夜、ふとスマホを開いた。
特別な理由なんてない。
刺激が欲しかったわけでもない。
ただ——
“誰かと会話がしたい”と思っただけ。
それで、マッチングアプリを入れた。
自分でも驚くほど、あっさりと。
彼との出会い
彼の第一印象は、正直、普通だった。
特別かっこいいわけでもない。
強烈なタイプでもない。
でも——
会話が止まらなかった。
仕事の愚痴。
子供の話。
夫婦のすれ違い。
「わかる」
「それ、俺も同じ」
その言葉に、救われた気がした。
気づけば、待っている
誰にも言えなかった本音が、
するりと出てくる。
気付けば、毎晩メッセージを待つようになっていた。
通知音が鳴るたび、胸が跳ねる。
こんな感覚、いつぶりだろう。
初めて会った日
初めて会った日。
緊張よりも、楽しみのほうが勝っていた。
彼も既婚者。
子供がいる。
お互い、帰る家がある。
それなのに。
カフェで向かい合って笑った瞬間、
私は久しぶりに“女”に戻った。
名前のつかない関係
触れていないのに、
空気が甘い。
これが逃げなのか、
それとも恋なのか。
まだ、その時は考えなかった。
ただ、楽しかった。
家庭では味わえない、
軽やかな時間。
罪悪感よりも先に、
生きている感覚が戻ってきた。
それが、すべての始まり。
これは、逃げ場ですか。
それとも、純愛ですか。
私はまだ、答えを知らない。
続きはまた次回。