
既読のまま、夜が過ぎていく
その日は、
めずらしく私から会いたいと言った。
送ったメッセージは、
すぐに既読がついた。
でも、返信は来なかった。
一時間。
二時間。
スマホを伏せてみても、
結局また手に取ってしまう。
夜遅くなって届いたのは、
短い一文。
「ごめん、今日は家にいる」
それだけだった。
言い訳を、先に探してしまう
きっと急な用事。
きっと家族の予定。
きっと仕方ない。
彼を責める前に、
私は先に彼をかばう。
その癖が、
もう当たり前になっていた。
彼の生活が、ちゃんと回っている現実
家庭の話題が、自然に出るようになる
彼は悪びれもせず、
普通に家庭の話をする。
「子どもがさ」
「今週、家族で出かけて」
それを聞くたびに、
胸の奥が、少しだけ沈む。
私はその輪の外にいる。
最初から分かっていたはずなのに。
私の時間は、空けておく側
彼の予定が埋まっている間、
私は空けて待つ。
もしかしたら会えるかもしれない。
少しでも時間ができたら呼ばれるかもしれない。
そんな期待を、
自分でも情けないと思いながら
手放せない。
優しさが、時々残酷になる
会えた日は、何事もなかったように甘い
やっと会えた日は、
彼はいつも通り優しい。
「会えてよかった」
「やっぱり落ち着く」
その言葉があるから、
また頑張れてしまう。
でも、その次の約束は曖昧なまま
帰り際、
「また連絡するね」
具体的な日はない。
約束もない。
未来が、
いつもぼんやりしている。
それが今の私の立ち位置なんだと、
はっきり分かってしまった。
私の重さと、彼の余裕
私は、会えない間ずっと考えている
会えない時間、
私は彼のことを考えている。
何をしているのか。
誰と過ごしているのか。
彼はきっと、
私ほどは考えていない。
そう思うと、
胸の奥が冷える。
同じ関係なのに、重さが違う
彼にとって私は
「大切な時間」かもしれない。
でも、
「最優先」ではない。
その違いを、
ついに認めてしまった。
それでも、離れられない理由
優先されないと分かっていても
選ばれない。
最優先じゃない。
それでも、
彼といる時間が好きだった。
あの瞬間だけは、
嘘じゃないと分かっているから。
私は、自分を後回しにしている
本当は、
一番後回しにされているのは
彼じゃない。
自分自身だった。
傷ついているのに、
それを見ないふりをしている。
それでもまだ、
この関係を終わらせる勇気はなかった。
次回予告(第16話)
「理解ある女」を演じるほど、
本音は行き場を失っていく。
強がりと我慢が積み重なったとき、
私は、初めて“感情”をぶつけてしまう。
地獄は、
いよいよ形を持ち始めます。
続きはまた次回。