『婚外恋愛』第16話 ふと感じた違和感

小さなズレ

最初は、本当に小さなことだった。

「ごめん、今日は少し遅れる」

ただ、それだけ。

仕事をしていれば普通にあること。
今までだって、何度もあった。

なのに——

なぜか少しだけ、引っかかった。


待つ時間

待ち合わせの駅で、スマホを見る。

まだ既読にならない。

ほんの数分。

それだけなのに、
落ち着かない。


考えなくていいこと

仕事かもしれない。
電話中かもしれない。

頭では分かっている。

でも、考え始めると止まらない。


違和感の正体

前なら、こんなことで揺れなかった。

会えれば、それでよかった。

彼がそこにいてくれれば、
それだけで満たされていた。


欲張りになった

いつからだろう。

“会えるだけでいい”じゃなくなったのは。

返信の速さ。
声のトーン。
ちょっとした空気。

そんな細かいことばかり、気になるようになっている。


会えたのに

その日も、ちゃんと会えた。

いつも通り車に乗って、
いつも通り隣にいる。

触れられると安心する。

でも——

どこか少しだけ、違う。


気のせい

たぶん、気のせい。

疲れているだけかもしれない。

考えすぎだって、自分に言い聞かせる。


笑っているのに

彼はいつも通り笑っている。

会話も普通。
態度も変わらない。

なのに、自分だけが勝手に不安になっている気がした。


言えない

「なんか今日、少し違う?」

そんなこと、聞けるはずがない。

重いと思われたくない。

面倒な関係には、なりたくない。


崩れ始める時

幸せな時間の中に、
ほんの少しだけ混ざった違和感。

それは小さいのに、妙に残る。


気付かないふりをしているけど。

本当はもう、分かっている。


好きになればなるほど。

失うことが、怖くなっていく。

続きはまた次回。

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