2026年 9月 の投稿一覧

『婚外恋愛』第19話 選ばなければいけない日

会えない時間

会えなくなって、三週間が過ぎていた。

連絡は続いている。

「おはよう」
「今日も忙しい」
「やっと落ち着きそう」

言葉はある。

でも——

前とは、違う。


埋まらない距離

やり取りをしていても、満たされない。

画面越しの言葉だけでは、
もう足りなくなっていた。

会っていた頃の感覚を、
体が覚えてしまっている。


久しぶりの約束

「少しだけなら会える」

そのメッセージを見た瞬間、
胸が苦しくなるくらい嬉しかった。

やっと会える。

そう思っただけで、
止まっていた時間が動き出す。


再会

久しぶりに乗った彼の車。

隣にいるだけで安心するのに、
同時に少しだけ緊張していた。

会えなかった時間が、
前とは違う空気を作っている。


足りなかった言葉

「ごめんね」

彼が、小さく言った。

その言葉だけで、
張っていたものが崩れそうになる。


本音

「このまま終わるのかと思った」

気付いたら、口にしていた。

言うつもりなんてなかった。

重くなりたくなかった。

でも、怖かった。

本当に。


初めて見る顔

彼は少し黙ってから、
静かに言った。

「俺も怖かった」

その顔は、
今まで見たことがないくらい苦しそうだった。


現実

「でも、家庭を壊すつもりはない」

その言葉で、空気が止まる。

分かっていた。

最初から分かっていたこと。


分かっていたはずなのに

苦しかった。

彼が悪いわけじゃない。

むしろ、正しい。

子供がいて、家庭があって。

守るものがある。

当然のこと。


それでも

じゃあ、私たちは何なんだろう。

ここまで気持ちが深くなって。

こんなに求め合って。

それでも、“選ばれない側”なんだろうか。


選ばなければいけない日

ずっと曖昧なままでいられると思っていた。

でも、本当は違った。

いつか必ず、現実は来る。


家庭か。

それとも、この恋か。


選ばなければいけない日が、
少しずつ近付いていた。

続きはまた次回。

『婚外恋愛』第18話 崩れるきっかけ

その日は、突然だった

「ごめん、しばらく会うの難しいかも」

送られてきたメッセージを、何度も読み返した。

短い文章。

でも、その一文だけで、
呼吸が浅くなる。


理由

子供のことで、家の空気が少し怪しい。

最近、帰りが遅いって言われた。

しばらくは慎重にしたい。

そう書かれていた。


現実

初めてだった。

“家庭”という現実が、
はっきりこの関係に入り込んできたのは。


分かっていたはずなのに

そんな日が来ることくらい、分かっていた。

お互い家庭がある。

子供もいる。

ずっと同じようには続けられない。

そんなこと、最初から分かっていたはずなのに。


思った以上に

頭では理解できる。

でも、感情が追いつかない。

「そっか」

そう返すだけで精一杯だった。


怖かった言葉

“しばらく”

その言葉が、やけに怖かった。

一週間なのか。
一ヶ月なのか。

それとも——

もっと長いのか。


空いた場所

会えなくなっただけで、
生活の感覚が変わる。

時間が余る。

でも、その余った時間を、うまく使えない。


家にいるのに

子供と話していても、
夕飯を作っていても。

頭のどこかで、彼のことを考えている。

今、何してるんだろう。

同じように苦しいんだろうか。


温度差

ふと、不安になる。

私だけだったらどうしよう。

私だけが、こんなに苦しくて。

彼はちゃんと家庭に戻れていたら。


崩れ始める

会えていた時には見えなかったものが、
少しずつ見え始める。

この関係の不安定さ。

保証なんて、どこにもないこと。


それでも

終わりだとは思いたくなかった。

思った瞬間、
本当に終わってしまいそうで。


だから私は、
何も聞けなかった。

「待ってる」

その一言さえ、
重くなりそうで言えなかった。

続きはまた次回。