
いつもの夜
「ただいま」
そう言って家に入る。
子供たちの声がして、
夕飯の準備をして、
いつもの夜が始まる。
何も変わらない。
変わっていないはずなのに——
どこか、遠い。
隣にいる人
夫はいつも通りだった。
今日あったことを話して、
テレビを見て、
当たり前みたいに同じ空間にいる。
前は、それが普通だった。
比べたくないのに
比べたくない。
そんなこと、してはいけないと思う。
でも、気付けば比べている。
空気。
会話。
沈黙。
全部。
軽くなってしまったもの
前は、ちゃんとここにいたはずなのに。
家族の時間を大切にして、
妻として過ごしていたはずなのに。
今はどこか、感覚が薄い。
ちゃんと笑っている。
ちゃんと返事もしている。
でも、心だけが少し離れている。
思い出してしまう
彼といる時間を思い出す。
車の中の空気。
何気ない会話。
隣にいる時の安心感。
思い出した瞬間、
今ここにいる自分との温度差に気付いてしまう。
触れられたくない
夫に悪気はない。
それは分かっている。
でも、近付かれると少しだけ身構える。
触れられそうになると、
反射的に距離を取ってしまう自分がいた。
帰る場所
ここが、帰る場所のはずなのに。
ちゃんと守ってきた場所のはずなのに。
なのに——
最近、落ち着く場所を思い浮かべると、
最初に浮かぶのは彼の隣だった。
気付いてはいけないこと
気付いたら終わる気がして、
ずっと考えないようにしていた。
でも、もう誤魔化せない。
変わってしまった
私はたぶん、もう戻れない。
ただ刺激に溺れているだけだと思っていた。
でも違った。
彼といる時間が、特別なんじゃない。
今の私にとって——
あっちの方が、“自然”になってしまった。
続きはまた次回。